マザー・テレサとキュリー夫人

偉人

 偉人として知られるマザー・テレサキュリー夫人。この二人から生き方について多くのことを学べるのではないだろうか。

 まずマザー・テレサから。マザー・テレサ(1910~1997)は、世界中で貧しい人や病気の人を助けた女性。彼女はアルバニア(ヨーロッパのバルカン半島にある国)で生まれ、18歳のときに修道女(神様に仕える人)になるためインドに行った。そこで、特にインドのコルカタという町で、家がなくて困っている人や、病気で苦しむ人たちのために活動を始めた。マザー・テレサは、「死を待つ人の家」という場所を作り、最期を迎える人たちが安心して過ごせるように手助けをした。一人一人の命の尊さに敬意を払っているからこその活動だ。また、ハンセン病やエイズなどの病気で孤立してしまった人たちも支えた。その生き方や行いから、1979年に「ノーベル平和賞」を受賞。彼女は「大切なのは、大きなことをすることではなく、小さなことを愛を持って行うこと」と言い、多くの人に勇気と希望を与えた。

 次にキュリー夫人について。キュリー夫人(1867~1934)は、科学の研究で大きな成果を残した女性だ。ポーランドで生まれた。当時のポーランドはロシアの支配下にあり、ポーランドで女性は大学で学ぶことができない状況であった。そんな中、非凡な才能の持ち主であったキュリー夫人はフランスに渡り、ソルボンヌ大学で学びながら、科学者のピエール・キュリーと結婚した。「キュリー夫人」と呼ばれるようになったのはそのためだ。キュリー夫人は、放射線というエネルギーについて研究し、新しい元素である「ラジウム」と「ポロニウム」を発見。この研究は、がんの治療や医学に大きく役立っている。その功績が認められ、女性で初めてノーベル賞を受賞した。しかも、物理学賞と化学賞の2つを受賞した唯一の人物としても有名だ。キュリー夫人は「科学は人類のために役立つもの」という信念を持っていた。また、第一次世界大戦中には、自分の研究を活かして戦場で負傷者を助ける医療活動も行っていた。キュリー夫人の努力と成果は、女性が学問や科学の分野で活躍する道を切り開き、多くの人に勇気を与えた。

 マザー・テレサとキュリー夫人は、ぞれぞれ異なる分野で活躍した人物だが、いくつかの共通点がある。
1.社会貢献
 マザー・テレサは貧困層や病人を救うために生涯を捧げ、人々の命を支え続けた。キュリー夫人は、自身の研究によって医学や科学に大きな貢献を果たし、がん治療にも影響を与えた。

2.女性としての先駆者
 マザー・テレサは修道女として宗教や文化を超えた活動を行い、女性が世界的リーダーとして活躍する姿を人々に示した。キュリー夫人は、女性として初めてノーベル賞を受賞するのだが、なんとそのノーベル賞を「物理学」と「化学」の2分野で受賞という偉業を達成した。

3.困難を乗り越えた人生
 マザー・テレサは、貧困や社会の偏見と闘いながら、最も弱い立場の人々のために尽力した。キュリー夫人は、女性が学問や研究の場で認められない時代に、多くの偏見や苦労を乗り越え研究を続けた。

4.利他的な使命感
 二人とも自己利益ではなく、人類全体のために人生を捧げた。

 最後の“「利他的」になれる”のは、人間の脳の働きからも説明ができるようだ。私たちの脳には、ミラーニューロンという特別な神経がある。例えば、友達が転んで怪我をしているのを見た時、「痛そうだな…」と感じる。これはミラーニューロンが友達の気持ちを真似して、自分のことのように感じさせてくれている。だから、困っている人を見ると共感し、助けたいという気持ちが出てくるのである。

 また、人を助ける時脳の中ではドーパミンという物質が出る。どこかで聞いたことはないだろうか。このドーパミンは、「いいことをしたな」と感じさせてくれる物質だ。例えば、重たい荷物を持っている人を手伝った時に温かい気持ちになる。これは「いいことをしたねっ」と脳が教えてくれているということなのだ。

 さらに脳はオキシトシンというホルモンも出す。これは「優しさホルモン」とよばれるもので、家族や友達など自分と関わる人のことを大切に思う気持ちをより強くしてくれる。

 脳の中でさまざまな成分が分泌されている。人を助けることをむしろ“欲してしまう状態”というのは、ある意味“人を助ける中毒”つまり“人を助けたくてしょうがない”といった状態なのかもしれない。逆に自己中心的な考えをしてしまう人というのは、ひょっとしたら脳科学的にそういった脳の構造なのかもしれない。とはいえ、多くの人は、まだまだ“人助けをすることの良さ”の経験不足なのだろうけど。きっとマザー・テレサとキュリー夫人は、その経験を早い段階で味わうことができ、胸に刻んだのだろうね。

 今の世の中、“合理的に”という価値観が暴走して、自分勝手になることや排他的であることを推進するような流れが生まれているように感じることがある。しかも世界中で。でも生きる喜びや幸せって、数値では表せない部分が大きい。だからこそ、一時の流行りに流されるのではなく、自分の人生を喜びに満ちたものにするという考え方をもってみよう。マザー・テレサもキュリー夫人も最期、充実感に満ちた笑顔で天国へ旅立っていった姿がなんとなく想像できないだろうか。

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