圧倒的偉人 孫正義さん(続)

偉人

 最近読んだ孫正義さんの伝記『志高く 孫正義正伝 決定版』(井上篤夫著 実業之日本社文庫)を読み、前回は孫さんの素晴らしいところの一つ「熱量」について伝えた。三つ伝えようと思ったので、あと二つ私が素敵だなと思うところを紹介しよう。

 孫さんの素敵なところ二つ目は「スケールの大きなビジョン」だ。孫さんは『“社会”つまり“人々”がくらしやすい世の中を作るには、どんなことをすればよいのか』という理念の下、行動している。世の中にある“不都合”に目を向け、何がその“障壁”になっているのかを見極め、それを取り除くという行動である。それは世の中の誰もがやっていることだと思うかもしれないが、私があえて孫さんの行動を表現させてもらうとすると、孫さんは『時代を早めている』のだと思う。「より成熟した社会」の実現に向けて、自分の得意分野で世の中を発展させていっているのである。
 孫さんの得意分野というのが「情報」の分野。孫さんは人類が生み出した三大革命を「農業革命・産業革命・情報革命」と定義し、そしてその中の情報革命の中に4つの革命があったと指摘している。「PC革命・IT革命・モバイル革命・AI革命」の4つだ。
 パソコンが生まれたことによって、扱える情報の量が圧倒的に増えるようになった。情報をデータとして「保存」することができるようになったのだ。そしてインターネットを通して保存された世界中のさまざまなデータにアクセスする(つながる)ことが可能となった。それに伴い、さまざまな分野での進化/成長がとんでもないスピードで広がりをみせるようになった。さらにスマートフォンのような「持ち運びができるパソコン」が生まれ、人間が情報にアクセスし活用するための“時間”や“場所”にとらわれない環境が整うようになった。
 そして今まさに人類が突き進んでいるAI革命。先日、とあるテレビ番組で動物型ロボットAIの学習の様子を紹介していたが、恐ろしいほどのスピードでAIは成長している。仮想空間でアバターに学習させ、その蓄積したデータをロボットの動きにつなげているのだ。そんな日進月歩のAI技術がより早く前へ進むために、孫さんは会社を買収し、自分の描くビジョンの通り人類の歩みを進めていくため“投資”して世の中に貢献しようとしている。ただ、投資と言ってもお金を出すだけではなく、自分で納得しながらでないと先に進まない性格がゆえ、専門的なことについて徹底的に調べ上げ、常に自分が戦いの最前線に立っている。買収される企業側としても、なぜ買収されるのか明確な理由、道すじを示されるので交渉が進み、まとまるのである。誰もが知る世界的に有名なマイクロソフト社のビル・ゲイツ、アップル社の故スティーブ・ジョブズ、アマゾン社のジェフ・ベゾスなど、お互いのことを知り合う友人であるという話からも、世界をまたにかけるスケールの大きな人なんだなぁと実感させられる。

 最後の三つ目はとてもシンプル。「優しさ」である。この本を読む中で、孫さんは心が強くたくましく、人格者なんだろうなって思う。読みながら思い浮かぶ孫さんは、いつも朗らかで笑顔の絶えない人だ。昔の動画(1980年代)を見た時も、きっと1秒でも多く仕事を進めたいはずなのに、取材に来ていた記者の方にとても丁寧に答えている様子だった。常に謙虚。それは「成長したい」という思いの裏返しだ。

 私たちは、そんな孫さんの生き方から多くのことを学ぶことができる。伝記のよさってそこだ。ただただ憧れるのもいいが、自分の人生の中に取り入れることを見つけるのも伝記を読む楽しみの一つだ。今回私が挙げた三つの素敵なところだって、「熱量」「ビジョン(方向性)」「優しさ」。別に誰でもできることばかりだ。少し前に読んだ本のタイトルがとても好きで紹介したい。「自分を探すな 世界を見よう」(田端信太郎著 マガジンハウス社)この本は自分の息子に宛てたメッセージを本にしたもので、『よく“自分探し”なんて言葉があるが、そんなのは「今の自分」という小さな枠組みの中で、自分の好きなことや得意なことを決めているとても視野の狭いもの。そんな小さな世界ではなく、もっと“世界”つまり自分の外側に広がる未だ知らない世の中を知っていこう!』というメッセージが込められている。あなたはまだ人生において熱量を帯びるものに出合っていないかもしれない。だからビジョンが見えてこないのかもしれない。”今自分の未来を決めるには圧倒的に出合いが足りていない”ということを自覚する必要がありそうだ。さまざまな人やモノ、情報に出合い、実際に肌で感じよう。
 「自分は○○な人間だ」なんて分かるのは、最期の最期でいい。

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