みんなは『ドラゴンボール』というアニメを知っているだろうか。昭和59年から平成7年にかけて発行された漫画だ。その人気ぶりからアニメ化され何度も再放送され、日本だけでなく世界中に浸透している国民的アニメだ。主人公の孫悟空が旅をする中で次々と強敵に出会い、その強敵を仲間と共に倒していく物語だ。強さに憧れをもっていた子が多かった当時の男子は、ほとんどの子が見ていたのではないだろうか。かく言う私も例外ではなく、このドラゴンボールの世界の虜になった少年の一人だった。
この主人公の孫悟空。もともとなぜ強いのかというと、そもそも地球人ではない。「サイヤ人」という宇宙人なのだ。赤ちゃんの頃に宇宙船からたまたま地球に降り立ち、それを見つけた孫悟飯という老人に育てられた。よく知らない人には申し訳ないが、この調子で話を進めていきたいと思う。
私はこのドラゴンボールの話の中で、とても好きな話がある。
戦闘民族のサイヤ人である悟空だが、意外とちょいちょい戦いで負けている。初めて出場した「天下一武道会」ではジャッキーチェンに決勝で負け、その次に出場した天下一武道会でも決勝で天津飯に負けた。この決勝戦はどちらも互角の戦いで、悟空が紙一重で負けてしまった。しかし、悟空が“圧倒的に負けてしまった戦い”がある。それは、悟空が「レッドリボン軍」という悪の組織と戦っていた時のこと。レッドリボン軍に雇われた「タオパイパイ」という殺し屋との戦いだ。当時の悟空にとってタオパイパイはとても強く、まったく手も足もでなかった。九死に一生を得た悟空はその後『カリン塔』という果てしなく高い建物の上に住んでいる「カリン様」という猫の神様に会いに行く。その理由は、カリン様が持っている『超聖水』が飲んだ人の力を何倍にも高めてくれるからだ。
悟空はカリン塔でカリン様に会うと、超聖水が普通に置いてあるので、それをさっそく飲もうとする。が、その瞬間、カリン様が飲むのを邪魔するのだ。「なんだよ、邪魔すんなよ」と言う悟空に対して、カリン様は「そんなに飲みたかったらワシから奪い取って飲めばいい」と返す。必死に奪おうとする悟空だが、そこからなかなか超聖水を奪えずただ時間だけが経過していく…。しかしそこはさすがの悟空。師匠の亀仙人がカリン様から超聖水を奪うのに3年もかかったところを、わずか3日でやってのけてしまったのだ。悟空は喜びながらその超聖水を飲む…。だが、すごい変化があったような感じがしない。悟空が「あまり変わったことはない感じだぞ?」と聞くと、カリン様は「そりゃそうじゃ、超聖水はただの“水”じゃ」と言う。「だましたな~!」と言う悟空に対し、「だましたのではない。ワシから超聖水を奪おうとしたこの時間が修行で、お前は来た時よりも何倍もの力をつけておる」と悟空に伝えた。その後、塔から地上に降り立った悟空は、先日負けたタオパイパイと再び戦い、圧勝することになる。
話を詳細に語ったので長くなってしまったが、本題はここから。私がこの話を大好きな理由は、『大切なのは表面的なことではなく“自分の中に何が残ったか”である』ということを伝えてくれるエピソードだからだ。
話をみんなの生活に移したい。もし君が小学6年生なのだとしたら、いよいよ1か月半後には卒業式だ。人生の区切りとして、卒業証書をもらうことに意味がないとは言えない。しかし、卒業証書は今の日本の義務教育のスタイルでは誰でも基本的にもらえるようになっている。中学校も同じだ。だから一番大切なのは、この小学校生活の6年間で何が自分の力になったかということだ。中学3年生のみんなもそうだ。卒業は区切りであって、卒業したから何かがレベルアップするわけではない。何度も言うが、大切なのは自分の中に何が残っているかということ。これからの人生でとても大切な考えだと思っている。日本一の東京大学を卒業しても、世界一のハーバード大学を卒業しても、それ自体は表面的なものだ。もちろん、よい環境にいるということはとても重要で、“自分の中に何かを残しやすい環境”と言うことができる。だから“自分にとってより刺激的な環境に身を置くこと”自体は強くオススメする。
人と関わる時も、あなたにはその人の中身をしっかり見る目をもってほしい。肩書きに翻弄される必要はない。「話の内容」や「所作」、「その人が出す雰囲気」など、面と向かえば肩書きでは決して表せられないものが伝わってくるだろう。あなたにはそれをキャッチできる人であってほしい。もちろん、あなた自身が中身のギュッとつまった、己を磨いている人であることも同時に祈っている。
さぁ自分に問いてみよう。今の自分にはどんな力があるのだろう?



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