「イノベーションのジレンマ」から学ぶ

生き方

 私たちがふだん使っているスマホやゲーム機、家電やアプリには、さまざまな「新しい工夫」がつまっている。こうした新しい工夫のことを「イノベーション」という。そして、イノベーションが社会を大きく変えるとき、同時に不思議な現象を生み出すことがある。それが「イノベーションのジレンマ」というものだ。

 ジレンマとは「どちらを選んでも悩ましい状態」を意味する。つまり、イノベーションのジレンマとは、「新しいものが生まれたとき、今まで成功していた人や会社ほど、それに対応するのが難しくなる」という問題のことだ。これは、大人の世界だけでなく、実はみんなの学校生活や将来にも深く関わってくるだろう、ということで今日はそんな話。

 たとえば、ある会社が高性能なカメラを作っていたとする。この会社は長い時間をかけて技術を磨き、お客さんたちにも信頼され、とても人気だった。ところが、あるときスマホに「カメラ機能」が付き始めた。当初、スマホのカメラは画質がそれほど良くなく、本格的なカメラとは比べものにならないものだった。でも、スマホは「軽い・持ち運びやすい・すぐに撮れてSNSに送れる」という便利さがあり、多くの人がその“質の悪い”カメラ機能を使い始めた。

 ここでジレンマが起こった。本格カメラの会社は「こんな粗い写真じゃ、うちの相手にならない(楽勝だ)」と考え、高性能なカメラの開発に集中し続けた。しかし、スマホカメラは急速に進化し、気づけば一般の人は「スマホで十分」と考えるようになったのだ。結果として、高性能カメラの会社は大きな打撃を受けた。成功していた会社ほど、新しい小さな変化に気づきにくく、変化に乗り遅れてしまうというわけだ。

 では、この話から私たちは何を学べるのだろうか?

 一つ目は、「今うまくいっているからと言って、それがずっと続くとは限らない」ということだ。勉強でもスポーツでも、人間関係でも、同じやり方がずっと最適とは限らない。テストで良い点を取れていても、勉強方法を見直さないと急に伸びなくなることだってある。クラブ活動でも、いつものポジションだけを練習していると、顧問が代わりチームの戦法が変わったときに対応できなくなるかもしれない。変化を恐れず、常に「もっと良い方法はあるか」と考える“姿勢”が大切だ。将来、高校や大学に進学する際も、今までの評判・イメージだけで自分の大切な“道”を決めるのは情報収集として浅いのかもしれない。その進学先が“現時点の自分”にとって最良の選択なのか、しっかり考えてから結論を出してほしい。

 二つ目は、「小さな変化の中に、大きなチャンスが潜んでいる」ということだ。スマホカメラが生まれたとき、最初は大したことがなかったように見えた。しかしそれが、世の中の写真文化を大きく変えることとなった。みんなも、身の回りの小さな不便や、ちょっとしたアイデアの中に、未来を変えるヒントがあるかもしれないよ。小さなことこそ大切にし、観察力をみがいていくことが重要だ。新しいアイデアなんて要らない。聞いたことのあるアイデアをどう掛け合わせるか、どう配合するかが“あなたらしさ”である。常に頭を働かせよう。

 三つ目は、「自分の得意や成功にとらわれすぎない」ことだ。イノベーションのジレンマに陥った会社の話は実話であり、自分たちの成功体験に自信を持ちすぎて、新しい流れに目を向けなかった結果こうなった。私たちも、自分の得意科目や得意なやり方だけにしがみついてしまうと、成長のチャンスを逃すことになり得る。得意を生かしつつ、変化に合わせて柔軟に自分をアップデートする姿勢がこれからの時代には求められる。

 最後に、「この言葉は挑戦する人の味方である」ということだ。大きな会社や強いライバルがいても、新しい工夫を続ければ、いつか流れが変わる時が来るかもしれない。みんなのような若い世代の考え方や価値観こそ、未来を動かす原動力になる。イノベーションのジレンマとは、「成功している人ほど変化に弱くなる」という警告であると同時に、「柔軟に学び続ける人には、大きなチャンスがやってくる」という励ましとも読み取れる。みんなも、今の成功や失敗だけで自分を判断せず、「変化を楽しむ姿勢」を身につけていけるといい。

 「未来」は、変化を恐れず常に新しいものに目を向ける人たちのものだっ!

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