人を動かす

学校

 おはよう!

 世の中には“リーダー”として人を動かす人がいる。政治家が国を動かしている姿を想像する人もいれば、ユーチューバーが見ている人に影響を与えている姿を想像する人もいるかもしれない。会社を見れば、出世をすると部下も増え、会社の中でより多くの人に影響を与えるようになる。

 こんなデータがある。「あなたは自分で国や社会を変えられると思うか?」という質問を9か国の若者(17~19歳の1000人)にしたところ、日本では「そう思う」と答えた人が「18.3%」しかいなかったようだ。「しか」と言ったのは、他の8か国の中で最も低い国で「39.6%」、最も高い国ではなんと「83.4%」の若者が「自分で国や社会を変えられると思う」と答えたらしい(日本財団調査2019)。こういうアンケートは国民性も顕著けんちょに表れる。ひょっとしたら、日本の若者は何かしらの経験から現実を知って、自分の力が無力だと感じたのかもしれない。また、日本人は謙虚けんきょだから「いやいや私なんて、とてもとても…」と頭をを低く下げるのが礼儀だと思ってのことなのかもしれない。とは言え、さすがに18.3%という数字はちょっと深刻な日本の“心のエネルギー不足”を表しているように感じてしまう。

 私は、この結果の原因を2つ考える。一つは「自己肯定感こうていかんの低さ」。そしてもう一つは「人を動かすという経験の不足」だ。特に後者の”人を動かす”という視点において話を進めていきたい。

 学校での生活を見てみると、多くの学校では小学5年生から「委員会活動」が始まる。私が初めに赴任ふにんした学校は、委員会が月に1回あったので、委員会活動に様子を見ていてとても楽しかった。毎月あるから、子どもたちはやることが初めから決まっている仕事をするだけではなく、振り返り活動をしながら自分たちで考えて活動を改善する部分があった。決められたことをすることも大切だが、そこに“思考”があった方がはるかに楽しい

 小学校は学年によって大きく3つに分解される。低学年(1~2年生)・中学年(3~4年生)・高学年(5~6年生)。みんなは今まであまり“3つに分かれている”などということを考えたこともないかもしれないが、私は段階をもつことで、自分の意識の“ギア”を上げる機会にしてほしいなと思う。こんなイメージだ。委員会や係活動と合わせて表にしてみた。

学年学校での活動
小学校低学年(1~2年生)小学校生活に少しずつ慣れ、学級の中で係活動や給食当番などの”やることが決まっている”仕事が与えられる。“自分以外の人のために働く”ことを“知る”段階。その活動が“良いこと”というよりは、“やれと言われているからやる”という子がほとんどである状態。
小学校中学年(3~4年生)小学校生活にはほぼ慣れ、成長段階としても、“人のために働きたい”という気持ちが大きく芽生えてくる。学級の中の係活動や給食当番においても、“どうしたらより良くなるか”を考えて、改善しようとする子がどんどん増えてくる段階
小学校高学年(5~6年生)小学校のリーダー的立場として、クラスの枠を超えて、学校のみんなのために働く委員会活動がスタートする。この活動の充実度によっては、自分(たち)の影響力を実感できるようになる。成長段階としてほとんどの子が他者のために働く能力があるが、一人一人の心の在り方集団の雰囲気によって左右される部分が大きい。
中学生中学校1年生になると、「一番下の学年」になるので、6年生の時に学校のリーダーになった時の勢いは少しかげひそめる(そんなものですね)。行事や部活動を通して異学年で交流することが当たり前になるので、その中からその中学校の文化が継承けいしょうされていく。義務教育最後の3年間なので、その後の進路を考える中で心が大きく成長する。職業体験など中学校の外の”社会”とじかに接する活動もあり、主体性が増す。体力や思考力などさまざまな能力が非常に高いレベルに達する、まさに成長期

 これは教師であった私の視点でもあるので、あまりピンとこないかもしれない。ただ、成長の段階をこのような客観的にイメージできることは、自分の現在地を考える上で必要なのではないだろうか。小学校4年生(委員会が始まる前)の時点で、クラス内で人のために働いたり、人に良い影響を与えたりする経験をたくさん通して、「よし、来年は学校をよくしてやるぞ!」と思って5年生を迎えるのと、5年生から始まる委員会活動に対して、何の目的もなく「委員会担当の先生がやれって言ったからやっている」活動とでは、雲泥うんでいの差」ができてしまう。私が4年生の担任なら、委員会の紹介はもう4年生の時に伝えておきたい。そして「学校の中で改善したらいいことって何かあるかな?」と子どもたちに投げかけたい。そうしたらきっと「オレは〇〇委員会に入って、――をしたい」という気持ちが芽生えてくるのではないだろうか。

 まとめをすると、君たち一人一人には人を動かす力がある。そんな自分の力を信じられるかどうかは、それまでにどんなことを経験したかによると思う。何か特別な力が必要なわけではない。偉大な人の行動も、その一つ一つを分解したら誰にでもできることばかりであることが多い。自分の“生きる力”を高める機会なんて、日常生活のそこら中に転がっている。たくさん経験しよう。自分の力を信じられるようになったら、きっとさらに日々が楽しくなる!

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