刺激からの化学反応

学校

 ある学校の12月の朝の全校集会の話。体育館のステージでは、児童会の役員扮するヒーロー戦隊が、いじめられている子そしていじめている子を救うために、その方法を伝授する。全校児童の前で堂々とした大きな声、そして迫真の演技。「カッコいい!」の一言に尽きる。当時児童会の担当でもあった私は、その児童会の役員の子たちの活躍を舞台袖から眺め、とても感動した。

 それぞれの小学校には、児童会という選挙等で選ばれた役員で構成する委員会がある。私が勤めていたその学校では、前期児童会が4月から9月まで、後期児童会が10月から3月までの任期を全うすることになっている。当時の前期児童会役員は9月でその役割を終え、後期児童会選挙で当選したメンバーと入れ替わる。激しい選挙戦の末、7人中2人が入れ替わり、新しく児童会役員として働くことになった。前期児童会のみんなは本当に学校を引っ張ってくれて、先ほどのヒーロー戦隊も、前期児童会メンバーが生み出した財産だ。チームワークもよかった。だからこそ、後期新しく入ったメンバーがどう合流できるか、一抹の不安があった。

 10月。再スタートした児童会の中で、新しく入った5年生2人(男女1人ずつ)は、若干緊張した面持ちだった。特に他の5人は全員6年生の女子ということもあり、その5年生の男の子は特に緊張していた様子に見えた。児童会は、代表委員会という月に1度の議会も運営する。各委員会から出された議題について話し合う場だ。そこで議長(2人)や黒板係(2人)や記録係(1人)、時には児童会からも提案者(1人)が存在する。役割分担は基本子どもたちに任せていたが、「議長やりたい人?」と誰かが言うと、古参の5人は「はーい!」と元気に声を揃え手をピンと挙げる。そしてすかさず新規の2人に「遠慮しないでやりたかったら手を挙げていいよ!」と優しく声をかける。するとまた誰かが「仕事覚えてもらうためにも、2人の役割のところにそれぞれ、〇〇ちゃんと□□くんを入れたら?」と提案する。本当に人の気持ちを考えられる素敵な子たちだ。そうやって、後期1発目の代表委員会はスムーズに進むことができた。

 話をヒーロー戦隊に戻して。このヒーロー戦隊は、発表する全校集会の約3週間前くらいにやることが決まった。自分たちで台本を決め、役わり分担も決めた。ヒーロー4人、いじめる子2人、いじめられる子1人、ナレーター1人、そして市の人権マスコットキャラクター「いじめにゃい」1人も登場だ。1人2役やる子もいるが、ヒーローには覆面があるのでその点は問題なし!児童会室という特別室に休み時間だけでなく、給食を早く食べて集合するなどしてさらに練習を重ねる。どこからそんなエネルギーが湧いてくるんだろう…と感心していたが、当の本人たちは「だって楽しいもん!」と笑顔で言う。

 本番前日の木曜日の6時間目の委員会。明日のための最終リハーサルだ。まず1回通してみる。私たち児童会担当の教員たち4人が”(愛のある)ダメ出し”を送る。子どもたちはその言葉の一つ一つを受け止め、自分たちで話し合う。そして2回目のリハ。さっきよりもよくなった。言われたことが改善されていく。また私たちの指摘が入る。子どもたちはまた集まって、確認作業に入る。そして最後のリハ―――完璧だ。もうこれ以上に準備をすることはない。子どもたちの生き生きとした顔が印象的だ。新しく入った2人の演技力も声の大きさもいい。“背中から翼が生えているのか?”と言わんばかりに自由闊達でキラキラしている。2か月前の緊張した顔が懐かしい。本番、素晴らしい発表をして、体育館が大きな拍手に包まれたのは言うまでもない。

 これは私が見たある小学校での出来事。人はプラスのエネルギーに憧れ、そのエネルギーに触れると今までにない自分の力が引き出される。まさに化学反応だ。当時の6年生からの素敵な影響を受けたその5年生たちが、その下の後輩たちに素晴らしいバトンをつないでいってほしいと願う。

 やはり『刺激がなければ人生じゃない!』人と関わってナンボ。自分と違うモノに触れてナンボ。楽しいと思えるようになったら、時間なんて忘れて無我夢中に突っ走っちゃう。一生懸命やっている人って本当にカッコいい。生き方が。表情が。そこに年齢は関係ない。小学校1年生でもでっかい声であいさつできる子カッコいい。苦手なことでも前向きにやれる子カッコいい。なりたい自分を目指してる子カッコいい。
 “真っ直ぐな子”がいいよね、なんて言うけどさ。そりゃそうだ、真っ直ぐはゴールへの最短距離なんだから☆☆

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